銀河鉄道999ラジオドラマ・第16話
放送日:98/02/13

第16話,「終着駅(後編)」

999の列車の音
999の汽笛

(メーテル)鉄郎,鉄郎,(泣きながら)
(メノウ)鉄郎さんはるつぼの外壁の継ぎ目を止めるネジとして使用されます.おめでとうございます.永遠の命の誕生の瞬間で御座います.
(メーテル)だまりなさい.
(メノウ)申し訳御座いません.
(メーテル)鉄郎,鉄郎(泣きながら)
(メノウ)このるつぼには無数のネジが使われています.1本でも抜けると圧力で歪んで開いてしまう大切なネジです.では,取り付けを始めます.
(メーテル)鉄郎.こころの温かい子.時の終わりまで一緒に旅を続けたかった.私の鉄郎.
グルルルル〜(ネジが締まる音)
(メノウ)完了しました.メーテル様,女王陛下がお待ちかねです.

(プロメシューム)メーテル,私の娘よ.
(メーテル)お母様.
(プロメシューム)よく無事で惑星の部分となる立派な若者を連れて帰ってくれた.私は何もかも見,そして知っていた.宇宙の果てまで歩いていくお前をいつも見ていた.愛しい娘よ.
(メーテル)お母様,トランクスをお返しします.お母様,それともう一つ.さようなら.
ポイ!
(プロメシューム)何を投げたメーテル.
(メーテル)今,投げたのは,長い間私を励まし見守っていてくれた生きるブローチ.
(プロメシューム)生きるブローチだと?メーテル.お前は何処へ行くというのだ.
(メーテル)新しい旅へ出ます.鉄郎と伴に.
(プロメシューム)鉄郎?!バカを言うでない.鉄郎はネジになった.
3人の駆け寄る足音
(鉄郎)メーテル,メーテル.
(プロメシューム)な〜んいうこと.お前はネジになったのではなかったのか?メノウもか,お前はそこで何をしている.
(メノウ)鉄郎さんをネジにするように見せかけ,他のネジとすり替えておきました女王陛下.クレアのガラスのかけらを鉄郎さんがずっと持っていてくれたのを見て,私が間違っていたことに気付きました.
(車掌)女王陛下,お初にお目にかかります.私は銀河超特急999号の車掌を務めるものに御座います.星野鉄郎さんは999号の大切なお客様.そのお客様の命を守るのもまた,私の職務に御座います.さあ,鉄郎さん.
(鉄郎)うん,メーテル.
駆け寄る鉄郎
(メーテル)鉄郎.
(鉄郎)くそ〜,僕はだらしない男だよ.涙が出てきて良く見えないや.
(プロメシューム)あ〜何故だ.なぜ,メーテルの心が読めぬのだ.そんなバカな.
(メーテル)私が心を閉ざせば,お母様には判らないこともあります.
(プロメシューム)すると,今までも裏切っていたという事か.
(メーテル)鉄郎,あの壁にある赤いネジを撃ちなさい.宇宙で最強のその戦士の銃で.
(メノウ)メーテルさんのルージュのついたあの赤いネジです.早く.
(プロメシューム)止めろ,止めぬか.
(鉄郎)判った.
ドビューン,ビシャーン
(車掌)うわ〜,ネジが全部飛び出した.
(プロメシューム)愚か者どもよ,直ぐにネジを修復するのだ.これは重大な反逆だ.
(鉄郎)な,なんだ.
(メノウ)圧力弁が開いたんです.あの中に見える巨大な火の玉.
(メーテル)あれは惑星大アンドロメダを構成する機械化人から吸い取られ集められた心の火.人の魂.機械化世界を支えるエネルギー.部品として固定され惑星を支えながら命を奪い取られていく.
(車掌)ああ〜,炎の魂が天に昇っていく.
(メーテル)ようやく,自由を心の自由を手に入れたのよ.
(プロメシューム)寒い,この寒さはどうしたことだ.
(メーテル)るつぼが壊れたのよ.お母様.
(謎の声)そうだ,プロメシュームよ.機械帝国はエネルギーを失って停止するのだ.
(プロメシューム)誰?
(メーテル)お父様よ.
(プロメシューム)何!あの生きたブローチか.ドクターバン,あなたは反機械化世界を目指した裏切り者.
(謎の声)哀れな機械の女よ.この星はお前が思うほど強固ではない.メーテルが歯を食いしばり何度も往復して部品となる同志を運んできたのは,何のためだと思う.メーテルの連れてきた若者たちが部品となって,要所要所に配置されていたのは何のためだと思う.統制された若者たちの部品は死んだよ.命の火を吸い取られてな.だが,若者たちの部品はわざと緩やかな結合で壊れやすくなっているのを忘れるな.欠陥のあるこの星は一度事故を起こすと二度と修復は出来ないのだ.
(プロメシューム)あ〜あ〜あ〜,寒い.とても,寒い.た,助けて.メーテル.
(メーテル)お母様,さようなら.これで,機械が人間を支配する時代は終わります.多くの悲劇を回避することが出来るんです.鉄郎のお母さんのような痛ましい悲劇は.
(プロメシューム)メ,メ,メーテル.
(鉄郎)この星は壊れるのかい?
(メーテル)いいえ,エネルギーを失い.お父様のカプセルの影響でバランスを崩し,アンドロメダ星雲の真の中心,超重力の墓場に引き込まれて永遠の眠りに着くの,それは光さえも外に出ることは永久にない暗黒の墓場.

シュー(999の音)
999に駆け寄る足音
(鉄郎)僕は地球に帰れるんだ.
(車掌)急いで下さい.超重力に捕まったらおしまいです.
(メーテル)車掌さんとメノウさんは先に乗って.
(車掌)判りました.お早いご乗車を.
車掌とメノウの足音
(鉄郎)メーテル.
(メーテル)鉄郎,私は...
(鉄郎)いいんだ,メーテル,999号に乗る前に僕は君が悪魔でも魔女でも構わないって誓ったんだ.僕にとっての君はず〜と,僕の前に座って旅をしたメーテルだけだ.
(メーテル)ありがとう.鉄郎.

(メーテル)鉄郎,遠く時の輪の接するところで,また巡り会いましょう.
(鉄郎)え?
(メーテル)途中の星も,地球も,機械人間がたくさんいるわ.挫けずに,鉄郎.
(鉄郎)メーテル,いつかこういうときが来るって,覚悟してたから,みっともないことは言わせない.ただひとつだけ教えて欲しいことがある.プロメシュームが「鏡の中の自分を殺せるか」って言ったのは何故だい?
(メーテル)アンドロメダ大星雲が,その中心の惑星大アンドロメダが宇宙という鏡に映った姿かも知れないということよ.ここがもし,地球だったら,こんな悲しいことはないわね.アンドロメダが鏡に映った地球かどうか,自分で答えを出しなさい.鉄郎.
(鉄郎)メーテル.
(メーテル)私はあなたの思い出だけにいる女.私はあなたの少年の日の心の中にいた青春の幻影.最後にキスをさせて.
999の汽笛
(メーテル)(さようなら,私の鉄郎.さようなら)
999が動き出し去っていく

(ナレーション )
向かい側の座席にはメーテルの移り香だけが残っていた.
それがだんだん薄らいでいくのが,鉄郎は悲しい.
揺らめく,少年の日の陽炎(かげろう)の中に,影を残して行ってしまったメーテルを鉄郎は忘れない.
あの旅立ちの汽笛が,まだ,鉄郎の耳の中で鳴り続けている.
歯を食いしばれよと尾を引いてレールの上をついてくる.
鉄郎は信じている.選んで出た自分の旅が,いつかきっとすばらしい終着駅に着くことを.
そうだ,鉄郎は後悔しない.旅はまだ続くのだ...

999の汽笛
999の汽笛

(ナビゲーター)

みなさんにとって,このドラマが,まあ,そういう(懐かしい)ものであったり, また新しい出会いとして,とてもいい感じの出会いをしていて下さっていれば,
嬉しいなと思います.


(ファスウトの感想:さあ,今回で終了しました.最後のナレーションは良かった.(T T))

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